Thursday, June 20, 2013

美しき廃墟 ベーリッツ サナトリウム





1898 年ベルリン南西部の都市ポツダムの近くに建てられたとある軍事病院がある。
この巨大な軍事病院は世界大戦中にドイツ軍によって結核療養所として改装された。
アドルフ ・ ヒトラーはイギリス ソンムの戦い中に、砲撃を受け脚を負傷し、 1916 年の 10 月にこの病院で療養している。
1945 年にナチス ・ ドイツの敗北の後、ソビエト陸軍病院として継続し1990 年 10 月 3 日にドイツの再統一後も、ソ連軍病院のコントロール下で 1995 年まで残った。 その後民営化されたこの巨大施設は、精神疾患をもつ者やパーキンソン病患者のサナトリウムとなるが、間もなく閉鎖され、廃墟と化し現在に至る。
この壮麗で重厚な建築様式の中で、感受性の研ぎ澄まされた療養患者は何を幻視し、恐怖に怯え、時には喜びを見出し、命を終えたのか、知る由もない。
 
我が家にも、僕が幼い頃、家の離れに、漆喰壁の洋間があった。天井が高く 窓は小さめ、錆びた鎖でぶらさげられた暗いシャンデリアライト、すでに壁は漆喰がぼろぼろはがれ落ち、何度壁塗料を重ね塗りしても、ひび割れ剥がれてきた。子供の僕はそれらを爪で剥ぎ取るのが好きだった。壁に静物画の巨大な油絵がかかっていたが子供心にも その絵には人を落ち込ませ、病気にしてしまう不吉な陰気くささが漂っていたのを感じ、描いた人は狂って死んだと勝手に決めつけていた。実際、戦後間もなくこの部屋で、住み込みの女中が肺結核で亡くなっている。思春期を迎えた僕は自分の部屋が欲しかったので、祖母に頼んで、その陰気くさい絵を外して貰った覚えがある。 絵の後にはビートルズの巨大ポスターを貼り付けた。もっともそのポスターのジョンの顔も恐ろしかったが。そういった経験があるせいか、僕にはベーリッツ サナトリウムは恐怖の対象ではなく、居心地の良ささえ感じてしまう。あの美しい窓辺で一日過ごしてみたい。ブッリュセルから400マイルはかなり行きにくいが、、。
 

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